読書記録 上半期読んだ小説(海外編)

今年の上半期に読んだ小説の中で良かったものの感想

 

ソラリススタニスワフレム沼野充義

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あらすじ

惑星ソラリスを覆う意志を持った海の謎を解明するため、ステーションに送り込まれた心理学者ケルヴィンは研究員の変わり果てた姿を目にする。ケルヴィンもやがてソラリスの海がもたらす現象に囚われていく。ディスコミュニケーションの極地

あまりにも有名なSFの古典名作。過去にはタルコフスキーが監督で映画化されている(余談だけどタルコフスキーの「ノスタルジア」は開始30分で寝落ちした)。ソラリスと向き合い、ソラリスによってもたらされた現象により自らの内面に向き合い、次第に狂って行く描写が圧巻。また途中で出てくるディティールの細かいソラリス学についての記述は先月(私のTLで)話題になったSFマガジン「異常論文特集」に出てきてもおかしく無いような強度がある。いずれまた読み返したい。そういえば今年はレム生誕100周年という事でレムの作品が新たに出版されるらしい。

https://twitter.com/kokushokankokai/status/1405808778788888576?s=21

 

あなたの人生の物語テッドチャン著  朝倉久志&その他訳

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・今年、2作目「息吹」が「SFが読みたい!」の年間ランキング海外部門で1位となったテッドチャンの第一短編集。既に21世紀の古典SFと言われているとかいないとか。表題作は「メッセージ」という名前で映画化されている。音楽はヨハンヨハンソンが担当。感想は以前書いたので割愛するが、

「あなたの人生の物語」テッドチャン著 感想 - 麗江日記

1番のオススメは「バビロンの塔」で「BLAME!」とかが好きな人には響くかもしれない。

 

「白い果実」 ジェフリーフォード著  山尾悠子金原瑞人、谷垣暁美訳

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あらすじ

悪夢のような理想形態都市を支配する独裁者の命令を受け、観相官クレイは盗まれた奇跡の白い果実を捜すため属領へと赴く。待ち受けるのは、青い鉱石、楽園への旅……

・過去に世界幻想文学大賞を受賞した三部作の1作目。なんと幻想文学の大御所山尾悠子が訳で参加している。次第に人を硬直化させる青い鉱石、若い未亡人、凍った旅人、賢い機械仕掛けの猿を従えた兄弟の看守、水晶とサンゴの都市etc...もう世界観が大好き。後主人公がヤク中ってのがいい。