日記 7/6(木) 「被虐心の坩堝」

久々の日記。そもそも日記に久々という概念を導入すべきでないことは百も承知だが、忘れてしまったものは仕方ない。過去はただ泡沫の如し。過ぎ去ったものを悔やんでも仕方ない。

 

最近は相も変わらず自分の被虐心に火をくべて暇を潰している。暇で無いはずの時間でさえ、何もせず、頭の中だけで過去の記憶をほじくり返して、他責と自責のラリーを繰り返していればそれは暇な時間なのだ。こんな事はさっさとやめて、勉強に集中すればいいのだが...

 

ご存知の通り、自分は図書館狂いである。読書が趣味になってからようやく気付いたが、本というものは高い。シャレにならないくらい高い。そして追い打ちをかけるのが紙の価格高騰である。文庫本でさえ1500円越えが当たり前になってきている(東京創元の平井呈一翻訳シリーズを見よ)。しかしそこで救いの手を差し伸べてくれるのがそう、図書館である。自分1人では到底買えない大型本や市場価格が高騰している絶版本が一銭も払わず(実際は区税という形で払っているが)カード一枚で(いやカードがなくとも)借りれて読めてしまうのである。私ほどになると、ネットで気になる本を見つけるとすぐに図書館にあるか検索して最寄りの図書館に取り置きしてもらうのである。最も新宿区の財力を感じる瞬間だ。そして借りた本の殆どは開きもせず帯文を見てニタニタするだけで返してしまう。ワシは貴族や!!

 

ということで、ここ半年で借りた(税金で買った)本の中で読んだ読まないに関わらず良かった本を紹介。

 

1.オクテイヴィア・E・バトラー「血を分けた子供」(藤井光訳)

 

・近年再評価が著しいSF作家と言えばやはりこのひとだろう。今まで翻訳は30年前に「キンドレッド きずなの召喚」があっただけで、それも遠の昔に絶版という寂しい状況だった。ところがここ数年、アフロフューチャー文脈でディレイニーとともに新たな位置づけをされたことで、日本でも関心が高まり「キンドレッド」が河出から文庫化され出版。古書ワタナベで買った。そしてそのすぐ後に短編集(これ)が出た。表題作は80年代傑作選に収録されているが、新訳されて収録。既に内容はほとんど覚えていないが、作品以上に併録されたエッセイ「書くという激情」がとても面白かった記憶がある。八月には竹書房から「種播く人の物語」と「才ある人の物語」が同時に出版されるとか。楽しみ。

 

続きはまた後日