・久しぶりにSF年間ベストを読んだ。以前は自分に合わないものがあると途中で読むのを止めていたので、読み切ったのはこれが初めてかもしれない。そして初竹書房。年間ベストなどのアンソロジーの魅力は、収録作品の面白さは勿論、解説が豊富であること。伴名練編「日本SFの臨界点」の解説は自分がSFを読み始めるにあたってとても役に立った。本書でも大森望が2020年に出版されたSFについて網羅的に紹介している。
・「この小説の誕生」 円城塔
「小説を書くことを書く」はなし。殆どエッセイに近い。google翻訳に日本語を打ち込み、訳された英文を更に和訳し、そのニュアンスの若干の違いを延々と語る。作品の面白さと言うよりは円城塔がダラダラと1人で語っているような質感が良かった。
異常論文ブームの発端になった作品。「信仰は質量を持つ」というトンデモ論を発案者のクランツマンの人生ととも伝記形式で語る。クランツマンのモデルはスウェーデンボルグなのかなと思った。クランツマンがもし実在していたら、水木しげるの「神秘家列伝」に名を連ねていただろう。
・「人間たちの話」 柞刈湯葉
これはもう読んでいたが、内容をさっぱり忘れていた。「人間たちの(都合の)話」
・「どんでんを返却する」
宮崎夏次系の「培養肉くん」ぽかった
・「全てのアイドルが老いない世界」
1番好きだった
・「循環」
面白くはないが、文章が好きだった